SVOLTがテスラに先駆けて「コバルトフリー」リチウムイオン電池を発表

SVOLTがテスラに先駆けて「コバルトフリー」リチウムイオン電池を発表

テスラのバッテリーデー(「コバルトフリー」のリチウムイオン電池を発表する?)が延期されている中で、中国の電池メーカーSVOLTがそれに先駆けてコバルトフリーのリチウムイオン電池を発表しました。

参考記事:Tesla Battery Day? SVolt May Ruin The Party With Cobalt-Free Li-Ion Battery (INSIDE EVs)

https://insideevs.com/news/424185/svolt-cobalt-free-li-ion-battery/

「コバルトフリー」正極の詳細

SVOLTの「コバルトフリー」正極の正体は、どうやらNCMからコバルトを無くした活物質(リチウム-ニッケル・マンガン酸化物)であるようです。

NCMについては以前の記事で詳しく説明しているので参考にしてください。

NCMからコバルトをなくすというのは結晶構造が不安定になりやすいので技術的に難しいと言われてきました。しかし、それを3つのブレイクスルーによって実現したと説明されています。

  • 異種金属(MgやAlなど?)のドーピング
  • 活物質の単結晶化
  • 活物質表面のナノコーティング

異種金属のドーピングやナノコーティングなどは電池材料では割と一般的ではありますが、やはり単結晶化が今回の特に大きなポイントだと思われます。これによって耐久性やエネルギー密度(EVの航続距離)、安全性が飛躍的に向上したということでしょう。

特にNCMにおいて最大の懸念点であった安全性も大きく改善されているようです。

活物質の単結晶化はおそらくテスラや他の中国の電池メーカーも近年進めていると思われる取り組みの一つです。こちらも以前の記事で紹介しているのでご参照ください。

2021年内には発売予定

また、今回のSVOLTの電池は正極材料だけでなく電池パックの構造・システムにも力を入れており、115Ahの電池パックは航続距離600km、15年/120万キロ走行可能となっています。さらに226Ahの大型電池パックを搭載した電池はなんと880キロメートルの航続距離だそうです。いずれも2021年後半には発売されるとのこと。

生産設備への投資も惜しまず行っており、ほぼ全自動でリチウムイオン電池のセルが大量に作られていく映像はテスラのギガファクトリー顔負けの壮観です。

バックに世界的研究者のサポート

SVOLTがこのようなEV用電池パックを開発しえた背景には、バックに何人もの世界的研究者のサポートがあったようです。その代表が、韓国漢陽大学教授でコバルトフリー正極材料の研究の第一人者であるYang-Kook Sun氏。

今や、世界中の技術者たちがテスラや韓国・中国の電池メーカーに集まっているといっても過言ではありません。

発表についてのコメント

ここのところ、テスラ(に電池を供給しているCATL)、BYD、そして今回のSVOLTなど、中国の電池メーカーに関する情報が一気に入ってきて競争がかなりヒートアップしていることが伺えます。

これまでは中国の電池メーカーは群雄割拠の状態でしたが、ここから一気に上記のような巨人たちによって淘汰が進むのではないでしょうか。

また、サムスンSDIやLGなどの韓国電池メーカーも、テスラや現代自動車などのEVメーカーとの提携を進めており一気に攻勢をかけようとしている様子です。

一方でパナソニックをはじめとする日本の電池メーカーはというと、かなり苦戦を強いられているようです。中国・韓国勢が資金力にものを言わせてガンガン開発を進めてきている中で、リソースがそこまでない日本メーカーが「選択と集中」ができないと正直太刀打ちのしようがありません。

かつての半導体産業と同じような道を電池産業もたどっているのではないかと、今回の報道でも改めて予感させられてしまいます。