テスラモデル3にCATLのLFP角型バッテリーが採用された件について

テスラモデル3にCATLのLFP角型バッテリーが採用された件について

テスラモデル3にCATLのLFP角型バッテリーが採用された件について、様々なメディアで報道されています。

EV smartブログ:https://blog.evsmart.net/ev-news/mic-tesla-model-3-catl-prismatic-battery/?unapproved=244061&moderation-hash=ab4f3ca5594b9f059aefa5be7223f364#comment-244061

ロイター通信:https://jp.reuters.com/article/tesla-china-electric-idJPKBN20D0EI

Clean Technica(英語):https://cleantechnica.com/2020/02/19/catl-built-tesla-model-3-battery-pack-will-use-prismatic-cells/

「コバルトを含まない電池」という言葉がやや先行している感もありますが、エネルギー密度の低いLFPを使用した電池をEV向けに採用したというのは確かに驚かれる方も多いかもしれません。

そこで今回のニュースに関して、いくつかの読み解くための視点を紹介したいと思います。

Clean Technicaより

このニュースの裏側にあるテスラ・CATLの意図はかなり複合的で読み解くのは一筋縄ではないとは思いますが、一つの側面としてテスラ側の要求を満たす供給能力を基準にするとCATLの角型LFPが解になったということが考えられます。

もともとテスラがPanasonicの一社供給体制から大きく舵を切ったのはPanasonicのキャッシュフローがうまく回らず、生産設備の増設が間に合わなくなってきたという背景があります。(Panasonic側のコストコントロールが下手で利益が出せていないということもあるでしょうが。)

そこでテスラは他の電池メーカーとも積極的に協業する方針に切り替えたわけですが、やはりあれだけの需要を満たすだけの生産量を出せてそこそこの質(Panasonicには遠く及ばないと思います。やはり質だけでいえばPanasonicが世界トップです)のところとなるとCATLくらいしかないわけです。

それに加えて材料供給面から言っても、安定性でいえばLFPはNCMやNCAよりも上です。NCMの場合、何でもよいというのであればそれなりの量は確保できるでしょうが耐久性に優れていてテスラが求めるような基準のものは特に中国国内ではそれほど多くはありません。NCAは住友金属鉱山(Panasonicに供給)以外で大規模に生産している材料メーカはほとんどありません。そういう意味ではPanasonicのNCAの電池は特別だといえます。

付け加えて言うのであれば、NCM、NCAの電池セルを作るのは生産技術的にもLFPよりはハードルが高めです。基本的には全面的に湿度コントロールをしたドライ環境下で生産を行う方がベターですし、製造ノウハウ自体もやや高度です。(中国でLFPの電池が多いのもそれが背景と言われています。)CATLがそのような技術を持ち合わせていないとも考えにくいですが、少なくとも生産設備的にはLFPの方がコストもかからず楽なのでLFPを主力にしているのではないでしょうか。業界内でもCATLのNCM系セルの品質についてはあまり良い情報は聞きませんし。

CATL側からすれば、これほどの台数を出せるのはテスラくらいしかないので思い切って手を組んでしまった方が良いのではないかという判断だと思います。中国はこれまでは助成金でEV市場がややオーバーヒート気味だったのが、その助成金が打ち切りになることでかなり淘汰が進んでいます。中国国内のLIB材料メーカーの担当者たちも、中国国内向けから海外のEVメーカー(向けLIBメーカー)に切り替えようとしていると口をそろえて言っています。

もう少し付け加えて言えば、テスラの場合はもう航続距離(≒LIBエネルギー密度)自体をそこまで伸ばすことには関心がないのではないでしょうか。床一面にびっしりと電池パックを並べることで航続距離自体は確保できているわけですし、Cell-to-packのシステムを採用することで最低限のエネルギー密度は抑えられたということでしょう。それよりも、電池寿命や安全性の方を重視するためにLFPにしたのかもしれません。

特に、EVを蓄電装置として使いまわすことを考えているのであれば耐久性は今以上に求められます。これまで日産リーフを蓄電装置として使いまわすことも実証実験などで行われてきたみたいですが、リーフのNCM系のLIBでそんな使い方をしたらすぐに寿命が来てしまいます。そんな考えもイーロン・マスクの頭の中にあるのではないでしょうか。