【続報】CATLのテスラ向け「コバルトフリー」電池はLFPではない?

【続報】CATLのテスラ向け「コバルトフリー」電池はLFPではない?

前回の記事で、テスラが中国向けのEVにCATLのリン酸鉄リチウム(LFP)リチウムイオン電池を採用するのではないかとお伝えしました。

しかし、その後にある人がテスラの上海ギガファクトリーに問い合わせたところ、公式アカウントがこのような回答があったとのことです。

日本語に直すと、「お問い合わせいただきありがとうございます。今の段階で言えることとしては、LFPに限らずコバルトフリー(の電池)を4月の”Battery Day”まで待っていて下さい」となります。

参考記事:https://www.tesmanian.com/blogs/tesmanian-blog/tesla-china-cobalt-free-lfp-battery-day

上記の回答の「LFPに限らず~」という部分から、「テスラがLFP以外の『コバルトフリー』の正極材を採用するのではないか」という推測が一部でされているようです。

そこで今回の記事ではその可能性について考察してみたいと思います。

NCAのコバルトを0%に!?

今回の件でLFP以外のコバルトフリー正極が使われているという推測が飛び交っているもう一つの要因は、次のような論文がテスラと連携して研究開発を行っている、Dalhousie大学のDahn教授が次のような論文を出しているからです。

”Ni-rich Positive Electrode Materials”というのは、現在パナソニックから供給されているNCA(ニッケル・コバルト・アルミニウム酸リチウム)のことです。化学式でいうと LiNi0.8Co0.15Al0.05O2 です。

今回の論文では、上記のNCAのCoの部分をAlやMn、Mgで置き換えた材料を合成してコインセルで評価しています。

この論文の結論としては、安全性やサイクル耐久性の面から見て「Co is unnecessary in these materials (コバルトは必ずしも必要でない)」とのことです。

「コバルトフリー」の正極材の懸念

「それでは初めからNCAやNMCにコバルトを入れなければよかったのでは?」と思われる方も多いかもしれません。しかし実は、コバルトが必要な理由それなりにあるのです。

NCAやNMCなどの結晶構造の中にコバルトが入っていることで大きく導電性が向上します。つまり、電池として使用した際に抵抗が小さくなり大電流での充放電が行いやすくなるのです。

EV用の電池として用いるのであればそれなりに大きな電流で放電するシーンも出てきます。また、急速充電に対応することも考えれば大電流での充放電ができることは必要な条件です。

しかし、上記のコバルトフリーの正極材においては大電流での充放電ができずに入出力の特性が下がるのではないかという懸念があります。

上記の論文を見ても、大電流での充放電ができるかどうかを確認している項目は見られません。Cレートでいえばせいぜい1/5C程度(目いっぱい充放電するのに5時間かかる電流値)です。

CATLが本当にこの材料系を開発しているのであれば、このような問題には間違いなく直面しているはずです。あるいは、今回のCATLではなくテスラが買収したMaxwellで扱うにしても同様です。

まとめ

したがって、個人的な見解としては「やはり『コバルトフリーの正極』はLFPのことではないか」となります。テスラの公式アカウントが「LFPだけではない」という趣旨のことを言ったのは、NCAもしくはNMCも使用するという意味ではないでしょうか。

いずれにしても、4月にはBatterydayが開催されてそこで概要が発表されると思われます。その日まで、テスラがどのような電池を発表するか楽しみに待っていましょう。